眼科検診の導入と活用で変わる企業の健康経営

健康診断

60歳以上の女性の転倒骨折は、20代の約19倍というデータがあり
目の健康対策は転倒予防に不可欠です。

そこで、日本眼科医会が発行した『眼科検診ハンドブック』2025年最新版は
企業が従業員の目の健康を守るための新たな指針を示しています。

人が得る情報の約80%は視覚から得られるという観点から
単なる視力検査に留まらず
緑内障など視力が低下しないまま進行する疾患の早期発見が重要だと説いています

社労士として、このハンドブックの内容を活かし
企業の安全配慮義務を強化し、労働災害の防止と健康経営を両立させる支援が可能です。

1. 労働災害防止と安全配慮義務の強化

視力低下は、労働災害や転倒事故の直接的な原因になり得ます。
特に高齢労働者の場合、視機能の低下が自覚されにくいことがあります。


目の病気のサインを見逃さないように
定期的に加齢による目の機能低下(アイフレイル)をチェックしましょう。

以下の2つ以上にあてはまったら、眼科医に相談するように、労働者にすすめてください。

  1. 目が疲れやすくなった
  2. 夕方になると見にくい
  3. 新聞や本を長時間見ることが少なくなった
  4. 食事のとき、テーブルを汚す
  5. 眼鏡をかけてもよく見えない
  6. まぶしく感じやすい
  7. はっきり見えないとき、よくまばたきする
  8. まっすぐの線が波打って見える
  9. 段差や階段でつまずきやすい
  10. 信号や道路標識を見落としそうになる

社労士は、眼科検診を安全管理の一環として提案することで
潜在的なリスクを洗い出し、事故を未然に防ぐことができます。

  • 自動車部品工場で働く高齢の従業員が、視界のぼやけから小さな部品の取り違えや
    足元の段差に気づかず転倒する事故を防ぐために、定期的な眼底検査を推奨します。

2. 健康経営への貢献と眼底検査のすすめ

眼底検査は、目の健康状態だけでなく
高血圧や動脈硬化といった全身疾患の早期発見にもつながります。
これは、企業が従業員の健康を包括的に管理し、健康経営を推進する上で非常に有効な手段です。

健診機関で実施される無散瞳眼底検査では
緑内障の早期変化が見られる視神経の評価をはじめ
視覚障害につながる眼科疾患のスクリーニングが可能です。

社労士は、無散瞳眼底検査
企業の定期健康診断に組み込むようコンサルティングできます。

3. 働く環境の改善と両立支援

ハンドブックは、単なる検診だけでなく、働く環境そのものを改善することの重要性も示しています。

  • 産業環境改善支援:
    転倒リスクを減らすために、薄暗い倉庫や通路に照明を増設したり
    視認性の高い警告色で段差をマーキングしたりするなど
    物理的な環境改善をサポートします。
  • VDT作業対応:
    デスクワークが多い職場では、ディスプレイの高さや距離を調整する指導
    ブルーライトをカットするノングレアディスプレイの導入などを推奨します。
  • 治療と就業の両立支援:
    社労士は、眼科治療中の従業員が安心して働ける指導
    産業医や主治医との連携をコーディネートします。

    フレックスタイム制の導入や、在宅勤務の活用など
    治療と仕事の両立を可能にする合理的配慮を提案します。

これらの取り組みを通じて、社労士は企業が直面する労務課題を解決するだけでなく
従業員一人ひとりの健康と安全を守るための、より深いパートナーシップを築くことができます。

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