介護離職防止に向けた雇用環境整備の実態とは?

訪問介護

高齢化が進展するなか、従業員が親などの介護に直面するケースは今後さらに増加が見込まれます。

2025年4月から施行される改正育児・介護休業法では
介護離職防止を目的とした措置が義務となりました。

はじめに:現状と課題意識

半数以上「介護離職防止、未実施」

一方で、「既に制度があり内容も充分」は10.0%にとどまり
次いで「見直しの余地あり(26.4%)」
「整備されておらず早急に対策が必要(22.7%)」との回答が半数近くを占めており
制度設計や実務対応が追いついていない企業が多数ある現状が浮き彫りになっています。

また、介護への理解を促進する取り組みの導入を行う場合
どのような要素があれば検討するかを聞くと

「介護を行う社員が増えた場合に検討したい(43.5%)」、
「介護離職が増えた場合に検討したい(34.3%)」が上位です。

多くの企業が、問題が発生したら対処するという受け身の姿勢です。

しかし、医療・介護分野は、従業員がケアを必要とする家族を抱えるケースも多く
離職リスクが比較的高い環境にあります。

制度義務化を契機として、制度導入・整備を戦略的に進めることは
従業員の定着、組織力強化、リスク管理の観点からも不可欠です。

改正法における義務化ポイント

改正育児・介護休業法では、介護離職防止を目的とした措置に関して
以下のような枠組みが設けられています。

区分内容主な対応例
雇用環境の整備(義務)介護休業・介護両立支援制度等の申出が円滑に行われるように、以下①〜④のうち少なくとも1つを講じること① 制度内容に関する研修実施
② 相談体制(相談窓口設置)
③ 自社の制度利用事例の収集・提供
④ 制度利用促進方針の社内周知
個別の周知・意向確認(義務)従業員が「介護に直面した旨の申出」をした際には、制度内容の個別周知と制度利用の意向確認を行う面談・書面・メール等の手段で
①制度内容
②申出先
③介護休業給付金などの情報を周知し、希望を聴取
情報提供義務(早期段階)労働者が介護の局面を迎える前(例:40歳前後など)に、
介護休業制度等に関する情報提供を行う
制度案内資料の配布、説明会や社内報での制度紹介など
テレワーク導入(努力義務)要介護家族を抱える従業員に対して
テレワークを選択できるような措置を講じること
就業規則・労使協定の見直し、勤務形態の柔軟化

また、制度上の対象要件や除外規定に関しても、従前の労使協定の見直しが必要な点があります。
例えば、介護休暇を取得できる従業員の適用除外要件から
継続雇用6か月未満」での除外規定が廃止されます。

介護離職防止に向けて、社労士事務所ができるサポートとは

改正育児・介護休業法の施行により
企業には 介護離職防止のための雇用環境整備 が義務づけられました。
しかし、「制度が整っていない」「何から手をつけてよいかわからない」という企業や施設も少なくありません。

そこで、当事務所では 医療・介護業界に特化した社労士 として、以下のような支援を行っています。

1.現状分析と課題把握

  • 就業規則や社内制度のチェック
  • 制度利用状況や従業員のニーズ調査
  • 改正法に基づく法令遵守の確認

2.制度設計・規程整備

  • 介護休暇・介護休業制度の設計、フロー策定
  • 就業規則や労使協定の改定
  • 相談窓口体制や運用マニュアルの作成

3.周知・研修のサポート

  • 管理職向け「介護両立支援研修」
  • 従業員向け制度説明会や社内資料の作成
  • 社内報・イントラ掲載用の原稿提供

4.個別ケースへの対応支援

  • 制度利用希望者への周知文書・面談記録様式の提供
  • 介護休業給付金や助成金の申請支援
  • 個別事情に合わせた働き方の提案(短時間勤務・テレワークなど)

5.助成金の活用支援

  • 両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)などのご案内
  • 制度導入コストを軽減しながら実効性のある取組を支援

6.継続的な運用・改善サポート

  • 制度利用実績や離職率のモニタリング
  • 最新の法改正・厚労省ガイドラインに沿ったアップデート対応
  • 介護制度利用者への不利益取扱いを防ぐ労務相談

最後に

介護離職を防ぐための雇用環境整備は、法令遵守だけでなく
従業員の定着・組織の安定にも直結します。

「制度はあるが実際に使われていない」「準備が追いついていない」とお悩みの方は
ぜひお気軽にご相談ください。

介護・医療業界でお困りの方へ

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労務サポートセンター愛知では、
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長時間労働、人材不足の問題解決のため支援を行います。

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