高年齢労働者の安全・健康対策について

高齢化が進む中で、医療・介護を含む多様な職場において
シニア労働者の安全確保は人事部門にとって、重要な課題です。

指針案では、経営トップの方針表明をはじめとする「安全衛生管理体制の確立」
身体機能の低下を補う設備等の導入、作業管理などの「職場環境の改善」
高年齢者の健康や体力の「状況把握」と「状況に応じた対応」
および「安全衛生教育」の項目ごとに具体的内容を明記しています。

背景

厚生労働省の検討会報告書によれば、60歳以上の高年齢者の割合は19.1%(令和6年)、
労働災害による休業4日以上の死傷者のうち 60歳以上が約3割 を占めています。

このうち、男性は55~59 歳、女性は 50~54 歳で全年齢平均を上回り
加齢に応じ、上昇していく傾向があります。

高年齢労働者は加齢に伴う 筋力低下・バランス能力の低下 などが進み
転倒・転落事故が増える傾向にあり
従来の対策だけでは十分な防止につながらないリスクが懸念されています。

新たに示された方向性

改正労働安全衛生法により2026年4月から
高年齢者の労働災害防止対策が全ての事業者に努力義務化されることに対応し
これまでの通達(「エイジフリーガイドライン」)ではなく
労働安全衛生法に根拠条文をもつ指針として示すことになります。

① 高年齢労働者に配慮した安全衛生管理体制の整備

事業所は経営トップの方針表明から始め、
安全衛生管理体制を組織として確立することが求められています。
具体例として次が挙げられています

  • 安全衛生責任者の明確化
  • 安全衛生委員会で高年齢労働者のリスクを議論
  • 産業医・保健師等の活用促進

② リスクアセスメントの活用と危険源の特定

高年齢労働者に特徴的な事故につながる要因(例:転倒、腰痛など)を
リスクアセスメント によって明確化し、優先順位をつけた対策を講じることが重要です。

介護現場では、移乗・移動時の事故、入浴介助時の転倒などが典型的ですので
これらを重点的に評価・改善することが必要です。

③ 高年齢労働者の特性を踏まえた業務設計

  • 身体機能や体力の状況を把握
  • 体力に応じた業務や負担の見直し
  • 機械的支援器具の導入(例:リフト機器など)

これらは高齢者雇用を継続しつつ安全に就労させるための重要な施策です。
検討会では 身体機能測定・評価フレイル対策 など最新のエビデンスも紹介され
医療・介護現場での実践が期待されています。

実務への示唆

人事担当者は、単なる「安全対策」ではなく
高年齢労働者の就労継続を支える人材戦略として取り組む必要があります。

  • 離職防止 → 人材確保につながる
  • 健康保持増進 → 生産性向上に直結
  • 安全教育 → 組織全体のリスクマネジメント強化

特に医療・介護分野では、腰痛予防機器の導入や職場体操の推進など
現場改善と人材定着を両立させる施策が有効です。

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医療・介護事業所が取るべき対策

1. 安全衛生体制の見直し

  • 高年齢者の労働災害防止対策を 安全衛生方針に明文化
  • 定期的に安全衛生会議で 高年齢者のリスク評価 を実施

2. リスクアセスメントの制度化

  • 危険源の 洗い出し ⇒ 優先順位付け ⇒ 改善計画の策定
  • 数値・データに基づく 再発防止策のPDCA を運用

3. 外部専門家との連携

  • 産業医・保健師、そして 社労士としての安全配慮義務の助言
  • 介護特有の事故傾向に精通した 安全コンサルタントとの協働

まとめ

改正法と新指針は、人事部門に「高年齢労働者の安全・健康を組織的に支える」役割を強く求めています。
人事担当者は、経営層・現場・労働者と連携しながら
「一人の被災者も出さない」職場づくりを推進することが期待されます。

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