就業形態の多様化が進行中|医療・介護現場で求められる柔軟な働き方とは

厚生労働省は、2024年「就業形態の多様化に関する総合実態調査」の結果を公表しました。
本調査は、正社員・非正社員それぞれの雇用実態と意識の違いを明らかにするため
全国約1万7,000の事業所と約2万3,000人の労働者を対象に実施されたものです。
■ 非正社員の比率は15.7%の事業所で上昇
「正社員がいる事業所」は94.4%、「正社員以外の労働者がいる事業所」は82.3%です。
特に、3年前と比べて正社員以外の労働者の比率が上昇したと回答した事業所は15.7%
「低下した」は16.7%でした。
上昇した就業形態の内訳は
- パートタイム労働者:66.2%
- 嘱託社員(再雇用者):22.4%
と続いており、人手不足を背景に柔軟な雇用形態を活用する傾向が見られます。
また、非正社員を活用する理由としては
「正社員を確保できないため」(41.0%)
が最も多く、採用難が非正社員活用を押し上げている実態が示されています。
次いで「即戦力・能力のある人材を確保するため」の31.6%
「1日、週の中の仕事の繁閑に対応するため」の29.1%
「高年齢者の再雇用対策のため」の28.9%です。
非正社員が今の働き方を選ぶ理由
個人調査では、正社員以外の労働者が現在の働き方を選んだ理由として
「自分の都合のよい時間に働けるから」(40.1%)が最も多くなりました。
職種別では
- 契約社員・嘱託社員(再雇用者)…「専門的な資格・技能を活かせるから」
- 派遣労働者…「正社員として働ける会社がなかったから」
という結果が出ています。
医療・介護の現場でも、資格を活かしながら家庭や生活と両立できる働き方を希望する人が増えており
職場側の柔軟な対応が求められています。
■ 職場満足度の傾向
職場の満足度(D.I.)では
- 正社員は「雇用の安定性」への満足度が高く
- 非正社員は「仕事の内容・やりがい」への満足度が高い
という結果となりました。
このことから、安定性とやりがいの両立が職場づくりのカギとなりそうです。
■ 医療・介護現場での対応ポイント
人材不足が続く医療・介護業界では、働き方の多様化に対応することが急務です。
今後は以下のような取り組みが重要になります。
- パート職員にも責任とやりがいを持てる職場設計
- 嘱託・再雇用職員の経験を活かす教育・支援体制
- 正社員登用やキャリアパスの明確化
- 柔軟な勤務時間制度(短時間正社員など)の導入
これらを進めることで、人材定着と職場満足度の向上が期待できます。
■ まとめ
今回の調査からは、「雇用の安定性」を求める正社員と
「柔軟な働き方」を重視する非正社員の価値観の違いが明確になりました。
今後は、こうした多様なニーズを踏まえた労務管理が必要となります。
医療・介護現場においても、一人ひとりの働き方を尊重した雇用環境づくりが求められています。
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