介護職の「処遇改善」と「特定技能外国人」の今

介護職の5割が「年収300万円未満」

マイナビ介護職調査より引用

2024年度の「介護職白書」(マイナビ介護職調査)によると
介護業界は依然として深刻な課題を抱えています。

それは、現場で働く介護職員の低賃金です。
介護職員の約5割が年収300万円未満であり
正社員であっても年収500万円以上の割合はわずか4.4%にとどまっています。

この厳しい給与状況は、離職や人材確保の難しさに直結しており
経営の持続性にも大きな影を落としています。

■ 給与満足度は依然として低いが、処遇改善への対応は進展

調査では、給与に「満足していない」と回答した介護職員は全体の6割以上にのぼりました。
一方、満足している人は37.4%となり、増加傾向にあります。


実際に、「前年より処遇改善に関する対応を受けた」と感じている職員は60.3%と増加傾向にあり
政府の処遇改善加算の拡充や経営側の努力の影響も見られます。

経営者としては、この小さな変化を確かな信頼へと繋げるために
処遇改善加算の活用や、キャリアパスの整備を通じた「将来が見える職場づくり」が鍵となります。

■ 倒産件数は過去最多、経営不安も拡大

2024年には介護事業者の倒産件数が過去最多172件を記録し
現場職員の3人に1人が「職場に経営難や倒産のリスクを感じている」と回答しました。
これは、単なる不安ではなく、実際に経営環境が悪化していることを示しています。

■ 特定技能外国人は人手不足対策のカギ

2019年4月1日より介護分野においても在留資格「特定技能」が導入されています。
しかし、職場での特定技能外国人の介護職員の増減について聞いたところ
「以前から変わらず在籍していない(49.9%)」は半数以下となっています。

一方、特定技能外国人の受け入れを実施している介護事業所は
2024年時点で全体の13.1%にとどまっています。
人手不足が深刻化する中、受け入れを検討する事業所が増えているのも事実です。

■ 経営者が今、考えるべきこと

現在の介護業界では、「処遇改善を通じて職員の定着を図ること」と
「外国人材の活用による人手不足対策」が並行して重要なテーマとなっています。

経営者として取り組むべき視点は以下の通りです。

  • 処遇改善加算を最大限に活用し、賃金面での競争力を強化
  • キャリアパス制度を明示し、職員の将来像を描かせる
  • 外国人材受け入れの可能性を検討し、社内体制を整備
  • 経営計画の再点検と、財務の見直しによる倒産リスクの回避

介護事業の持続には、職員が安心して働ける環境づくりが何よりも重要です。
今こそ、処遇改善と新しい人材戦略を両輪に、次世代の介護経営へと舵を切る時です。

参考ページ「マイナビ介護職「介護職白書2024年度版」を発表

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