2026年春季労使交渉へ向けて「物価上昇に負けないベースアップ」を要請

2025年の春季労使交渉における賃上げ率は
33年ぶりの賃金上昇だった前年を上回る水準で
賃上げ実施企業の割合も増加しています。
政府は11月25日、「政労使会議」を開催し
2026年春季労使交渉(春闘)に向けた議論を行いました。
医療・介護分野でも深刻な人材確保難が続く中
賃上げに踏み込みたい会社にとって重要な内容となっています。
政府:賃上げを“事業者任せにしない”方針を明確化
11月21日に閣議決定された「総合経済対策」では、次のような方向性が示されています。
- 物価上昇率を上回る賃上げの実現
- 家計の実質所得の確保
- 価格転嫁の徹底
- 省力化投資(ICT・DX・ロボット等)の促進
- 重点支援地方交付金等による支援:医療・介護・保育施設、学校施設に対し、物価高に対する支援
会議では、経済団体・労働組合の代表からも
- 「継続的に賃上げできる環境整備に期待」(経団連)
- 「政府が賃上げ環境を整えるという認識は共有」(連合)
と、政府方針への賛同が示されました。
首相は、「物価上昇に負けないベースアップの実現」に向け、労使双方へ協力を呼びかけています。
医療・介護事業者にとってのポイント
医療・介護分野は、他産業以上に賃上げ原資の確保が難しい業界です。
今回の議論を踏まえると、2026春闘に向けて次の点が重要となります。
① 介護・医療現場の賃上げは“政策支援”が前提
価格転嫁の仕組みや、補助金・交付金の拡充が見込まれるため
事業者が単独で負担しない賃上げモデルが進む可能性があります。
② 省力化投資が経営改善の重要テーマに
人手不足解消のため、次のような投資が政策的に後押しされます。
- 介護記録ソフト・ICT化支援
- 見守りセンサー、介護ロボット
- 医療DX(電子カルテ標準化・オンライン資格確認など)
賃上げのためには、省力化と業務効率化のセットが必須となります。
③ 「処遇改善手当・ベア・評価制度」の3本柱で検討を
医療・介護では、以下を組み合わせた制度設計が効果的です。
- 既存の処遇改善加算等の活用
- ベースアップ(基本給)とのバランス
- 公平性ある評価制度の整備
最後に
人材確保がますます難しくなる医療・介護業界では
「賃上げできる組織づくり」が経営の最重要テーマとなっています。
今回の政労使会議の動きは、賃上げ環境が大きく改善する局面でもあります。
制度づくり・処遇改善・労使協議など、ご心配ごとがあればお気軽にご相談ください。


