令和5年外国人雇用実態調査の結果について
厚生労働省は、2023年12月26日に「令和5年外国人雇用実態調査」の結果を公表しました。
この調査は、外国人労働者を雇用する事業所における雇用管理や労働者の状況を明らかにするため
初めて実施されました。以下は、調査結果の概要です。
調査の概要
- 調査期間:2023年10~11月
- 対象:外国人労働者を1人以上雇用する、雇用保険被保険者5人以上の事業所
- 回答件数:3,534事業所、外国人労働者11,629人
主な結果
1. 外国人労働者の雇用状況
- 外国人労働者は約160万人です。
- 在留資格別にみると、以下の通りです。
- 専門的・技術的分野:57万人(35.6%)
- 身分に基づくもの:49万人(30.9%)
- 技能実習:36万人(22.8%)
2. 雇用形態
- 全体では、正社員が52.7%、非正社員が46.8%です。
- 専門的・技術的分野では正社員割合が71.1%
- 技能実習では正社員が49.5%、非正社員が50.1%
- 留学の場合、正社員はわずか3.7%
3. 賃金と労働時間
- 全体の平均賃金:26.8万円/月です。
- 専門的・技術的分野:28.6万円/月
- 技能実習:20.4万円/月
- 身分に基づくもの:30.2万円/月
課題と対応策
雇用に関する課題
外国人労働者の雇用に関する課題(複数回答・事業所計)をみると、
「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」が最も高く44.8%
次いで「在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑」が25.4%
「在留資格によっては在留期間の上限がある」が22.2%
「文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある」が19.6%となっています。
トラブルの状況
- トラブルなしが82.5%と多いが、14.4%が困難を経験しています。
- そのトラブルの内容をみると
- 紹介会社の費用負担の高さ(19.6%)
- 日本語能力への期待が事前説明を超えたケース(13.6%)となっています。
外国人労働者の背景
- 最も多い国籍:ベトナム(29.8%)で、中国(15.9%)、フィリピン(10.0%)の順です。
- 入職経路をみると、85.2%が紹介会社や個人からの紹介等を受けています。
- 学歴:高校卒が41.4%、大学卒が30.9%です。
- 前職が日本国内である外国人労働者の転職による賃金変動状況をみると、約6割が増加、約16%は減少しています。
今後の展望
この調査は、外国人労働者の雇用管理や就業環境の改善に向けた基礎資料として活用できます。
企業は調査結果を参考に、外国人労働者の働きやすい職場環境を整える取り組みが求められます。
詳しい情報はこちら(厚生労働省サイト)をご覧ください。