【特集】改正育児・介護休業法の対応は万全ですか?

介護

医療・介護業界に求められる「柔軟な働き方」整備の実態と課題

2025年4月および10月に段階的に施行された改正育児・介護休業法により
医療・介護の現場でも「両立支援」体制の整備が重要な課題となっています。

一般財団法人 労務行政研究所が実施した企業アンケート(回答企業数:344社)の結果から
法改正への対応状況と、私たちの業界が直面する実務的なポイントを解説します。

1テレワーク対応、医療介護業界では対応困難が顕著

3 歳未満の⼦を育てている従業員および対象家族を介護する方が
テレワークを選択できるように措置を講ずることが努⼒義務化されました。

3歳未満の子どもを養育する職員へのテレワーク導入について
「既存制度で対応」とする企業は全体の57.3%でした。

一方、「対応予定なし」が34.0%と、約3社に1社が未対応です。
特に医療・介護現場では対人的業務が中心なため、柔軟な制度設計が求められます。

📍現場のヒント

2介護支援は「相談窓口」の設置が9割超

法改正により、以下いずれかの取り組みをし
介護に関する両立支援制度を利用しやすくすることが義務化されました。

①研修の実施
②相談窓⼝の設置
③事例の収集・提供
④取得・利⽤促進に関する⽅針の周知

法改正前から実施していた取り組みでは
「相談体制の整備・相談窓⼝の設置」が 56.2%で最も⾼いです。

法改正後に新しく実施した取り組みも
「相談体制の整備・相談窓⼝の設置」が最多の32.9%で
「従業員への利⽤促進に関する⽅針の周知」(32.3%)となっています。

法改正前後の実施状況を足し合わせると
「相談体制の整備・窓口の設置」が最も多く
9割近い企業が実施しています。

📍現場のヒント

  • 人事部門または看護管理者による月1回のヒアリングを導入
  • 介護経験のある職員によるピア・サポートの仕組みも有効

3|介護リスクに備えた「40歳」からの早期啓発が鍵

介護が現実化する前段階での情報提供義務も、2025年4月から施行されました。
情報提供タイミングは「該当者に対し年1回まとめて実施」が55.0%で最多です。
次いで「該当者に対して個別に実施」が33.3%でした。

📍現場のヒント

  • 40歳以上の職員を対象に年次面談時に制度資料を配布
  • 社内ポータルやLINEなどで「使える介護支援制度」コラムを継続配信

4「始業時刻の変更+短時間勤務」が主流に

2025年10月より、3歳~小学校就学前の子どもを育てる職員に対して
「柔軟な働き方を実現するための措置」として
5つのうち2つ以上の選択・導入が義務化されます。

①始業時刻等の変更
②テレワーク等
③保育施設の設置運営等
④就業しつつ⼦を養育することを容易にするための休暇の付与
⑤短時間勤務制度

最も多いのは、「始業時刻の変更」+「短時間勤務制度」(43.4%)の組み合わせです。
これら⼆つの措置に「②テレワーク等」を加えた三つの措置を選択するパターンが24.7%で続き
上位 2 パターンで全体の7割弱を占める結果となりました。

📍現場のヒント

  • 勤務開始時間の繰下げや、週4日勤務など選択肢の明示
  • 子の成長段階に応じた面談での意向確認がカギ(面談形式が65.8%で最多)

🎯まとめ|制度は整備から「活用」へ

医療・介護の現場では、「制度を整えたが活用されない」状態が少なくありません。
現場主導の対話と柔軟な運用が、職員の離職防止とチーム力の底上げに直結します。

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